詩のなかほどに長い一行がある。
限りないひろがりが遠いところでその口を少しずつゆるめている
「その口」というのは「出口」だろうか「入り口」だろうか。「ゆるめる」と「ひろがり」は大きくなるのか、小さくなるのか。想像力を刺戟される。
そして、最後の二行。
まだ歌にならぬ音階の上を
はやくも未来がしずかに歩みよる
「歌にならぬ音階」ということばも刺戟的だ。しかし、「はやくも」ということばが、私にはうるさく感じられる。「しずかに」と拮抗するように感じられる。もうすこし「不定形」のまま、ことばが放り出されている方が魅力的だと思う。
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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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