嵯峨信之『OB抒情歌』(1988)(13) | 詩はどこにあるか

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* (その日あなたは多くのことを話した)

その日あなたは多くのことを話した
だが多くの言葉のなかで一語だけが絃のように高らかに鳴つた

 その「一語」が何かは、詩のなかでは明らかにされていない。一語よりも「高らかに鳴つた」という事実の方が大事だからである。意味ではなく、響きが大事なのだ。意味は頭で整理されるが、響きは肉体によって受け止められる。

運命がまたしてもぼくのなかを通りぬけて行つたのだろう

 意味よりも響きが大事であることは、それが「運命」と言いなおされていることからもわかる。









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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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