嵯峨信之『土地の名-人間の名』(1986)(96) | 詩はどこにあるか

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* (旅びとは)

行く
ただ行くだけだ

 と「行く」が繰り返される。この「肯定」は「自画像」にも見えるが、そうではない。

かつて立ちどまつたことはなく
帰つてきたこともない

 すぐに二つの「否定」があらわれる。
 この「肯定」と「否定」を比較するとき、嵯峨の重心は「否定」の方に傾いている。「意味」は「否定」の方におかれている。その「意味」は最終行で結晶する。

そのひとは父であつた







*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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