嵯峨信之『土地の名-人間の名』(1986)(90) | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

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* (知るということの遠さは)

もはや読むことでも歩くことでもたどりつけない

 このとき嵯峨は「知る」という動詞をどう把握しているのか。
 「知る」と「読む」をどこかで結びつけている。読んで知ったことを「知識」というかもしれない。ここでは「頭」が動いている。
 一方、遠さを「歩く」という動詞でとらえている。「肉体(全身)」が動いている。肉体で「遠さ」を「たどりつけない」ととらえなおしている。

失つたものが日を浴びてきれいな列となつて並んでいる

 これは「目」で見ている。「目」は「読む」に通じるかもしれない。「見る」である。このとき「肉体(全身)」は動いていない。
 嵯峨は「精神」で苦悩する。「肉体」では苦悩しない。





 


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