夢のなかで
彫られた水の上を
一羽の水鳥が泳いでいる
「強い力でさえ」からはじまる詩は全集の349ページから350ページへとつづいていた。そして、350ページにあるのが引用した行。
「彫られた水」という表現は「耕された精神」という表現に似たところがある。「彫る」という動詞の主語がすぐにわかるわけではない。隠されている。「一羽の水鳥」によって「彫られた水の上」、つまり水鳥が「泳ぐ」ことによって水を「彫る」、その波の形が水面に模様を「彫る」ということが、イメージが交錯する形で書かれている。
詩は、イメージの混乱と再統合の運動である。
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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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