蟻は
せいいつぱい太陽を浴びて這つている
「這う」。確かに蟻は人間の目の高さから見ると「這う」ように動いている。けれど蟻に「這う」という自覚はないだろう。
嵯峨は「這う」という動詞のなかで蟻になっている。いや、「這う」という動詞になるために蟻を利用している。蟻を描くのではなく「這う」を突き詰めたいのだ。
「這う」という動きは「困難」「つらさ」といっしょにある。
糸のような時の上をたどりながら
それでもあるかないかの死の影を落している
「這う」は「たどる」と言いなおされている。「死の影」が蟻の「同行者」になる。
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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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