鳥のように 洋傘のように 枝にぶらさがつて死んだ
「鳥のように」「洋傘のように」と比喩が繰り返される。しかし「鳥」と「洋傘」は似ているだろうか。
翼を閉じて、傘を閉じて。あるいは、翼を開いて、傘を開いて。
その「形」もわからない。
たぶん、「わからない」ということが重要なのだ。判断できない、ということが。
自殺の理由は、誰にもわからない。
この詩のなかには、次の行もある。
小さな鉦叩きがその下を横切つた
なぜ? 理由はいらない。それが「自然」だ。--と書くとき、私は三木清を思い出している。嵯峨が三木清を読んでいたかどうかはわからないが。
「手記」のなかに、こんな一行がある。
人間と自然との対立のうち最も重大なものは「死」である。
いまは、それを結びつけて「結論」を書きたいとは思わない。ただ、そういう行があったということを思い出したと書いておく。
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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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