池澤夏樹のカヴァフィス(75) | 詩はどこにあるか

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75 ラーネスの墓

 最終蓮。


しかしおまえのラーネスはおのれの美を貸しはしなかった。
語気も強く彼は言ったではないか、
ヒュアキントスでも誰でもなく、アレクサンドリアの
ラメティコスの子ラーネスをこそ描け、と。


 これに対して、池澤は、こう註釈している。


 これは神話の時代から個人の時代への推移とも考えられる。ラーネスはギリシャ系の名だがラメティコスはエジプト名であり、マルクスはローマである。そのような渾沌の時にこそ反抗する個人が出るのかもしれない。


 この註釈のことばは強い。
 カヴァフィスもまた「個人」を主張した詩人だ、とわかる。


 


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