27 小さな錨(嵯峨信之を読む) | 詩はどこにあるか

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27 小さな錨

言葉たちが
錨になれずに
絮毛になって空中を漂う

 「錨」と「言葉」は最後に

意味の重さでいつぱい詰まつた
小さな錨に

 と言いなおされる。
 「意味」は「重さ」のことである。
 「重さ」は名詞だが「重い」と言いなおすと、用言である。「重くなる」と言いなおすこともできる。「なる」という動きは「小さな錨に」のあとに省略されている。最後の一行は「小さな錨になる」。
 「軽くなる」という運動もある。軽くなると、「絮毛になって空中を漂う」。「漂う」は定まりなく動くこと。
 「錨」は「動かなくする」ためのもの。「重い」ものは「動かない」。

 私は、疑問に思う。ことばにとって「動かない」ということは、どういうことなのか。「確固とした」という肯定をこめているのか。「小さな」という限定は何なのだろうか。



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