そして戻ってきた
誰かを愛していたはずだけれど、誰を愛していたのか忘れてしまった
愛したこころだけを持って戻ってきた
敗北して、疲れて、頭の中をことばでいっぱいにして。
ちょっと待って、プレイバック、プレイバックと
山口百恵は歌った、
ちょっと待って
愛したこころって、誰のこころ?
私のこころ?
愛したひとのこころ?
誰が何を言っているのか、自分の声も聞こえないくらいに
ことばが騒がしい。
覚えておいてほしい
話の核心はそれ、
それがオフィーリアの問題なのです。
愛した私のこころか、愛した人のこころか
それが問題だ
いや、そんなふうに動き回ることばが。
戻ってきた、
ベッドは焼けるように熱い、
ドアのノブは凍るように冷たい、
オフィーリアを見たら聞いてほしい。
ここで何をしているのか、と。
死ぬたびに生き返り、
果てしなさに少しずつ狂っていくのです。
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