千人のオフィーリア(メモ28) | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

千人のオフィーリア(メモ28)

自称オフィーリアは早く来すぎた。
独断的告白をしたいのに噂好きの聴衆はおろか
くそったれハムレットもいない。
               こういうとき、
日に焼かれていく花の色が何を意味するか
わからないものは誰もいない
くそったれ、
      純潔ばかり心配するくそ親父のせいだ。

教会の鐘の音はひとつ、ふたつ、みっつ、いつつ、ななつ、じゅうさん、
それぞれが違う音程で自称オフィーリアの希望を無視して答えた
--全部、無効だ。
  高貴が悲劇の始まりだ。
自称オフィーリアの耳には、まるで教科書に書かれた絶対定理に聞こえた。
スカートの下の腿の白さを赤い血が流れ、
尖塔の影は歩道を二分割して伸びていく。
自称オフィーリアは葉の裏側の細かいささくれを堅くして枯れていく
春の花、夏の花、