千人のオフィーリア(メモ11) | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

千人のオフィーリア(メモ11)

見るのが好きなハムレット。
私の子宮の中にいるあなたが私を知っている以上に、
私の子宮はあなたを知っている。
あなたは亡霊の子。精神の子。

亡霊は私の耳元で唇を動かす。
声にならないけれどあなたには聞こえた。
「見るのが好きなんだ。
ほら、カーテンが。」

覗き見していた。
覗き見を見られている。
みんな予言通り。
亡霊は予言者。
オフィーリアは知っている。

あなたは亡霊の子。精神の子。
目撃者は死ぬ。
精神は死ぬ。
死んで生きる亡霊の子。
あなたに会うためにあなたより先に死ぬ。
先に死んだ方が長生きするの、と
百四十一人目のオフィーリア。





*

詩集「改行」(2016年09月25日発行)、予約受け付け中。
1000円(送料込み/料金後払い)。
yachisyuso@gmail.com