千人のオフィーリア(メモ5) | 詩はどこにあるか

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千人のオフィーリア(メモ5)

もう考えるのはよそう、いやまだ考えられると考えてみる。
あの日、
熱っぽかった肌着が椅子に引っかけられて冷えていく
汗が固くかたまり、悲しみと呼ばれる。

きょう、
左肘の方向に月が出ている

あのころ私は何も知らなかった、幸福さえも。
あのころ私は私ではなかった、悲しみさえも。

もう考えるのはよそう、いやまだ考えられると考えてみる。
あすは私の葬式だろうか、
友達の葬式に出るのはつらくていやだわ。

隣のオフィーリアは無言。
一週間前と同じフリル、波に縫い込まれたエメラルド。
乱れる水色。



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