坂と石の階段をのぼったところにある店で古本を買った。
絵はがきが挟まっていた。
私がのぼった坂と石段が描かれていた。
真昼の短い影といっしょに。
誰に見られてしまったのか。
海の匂いがする路地をとおってきて、その
坂から石段にかわる場所で立ち止まると、
私しかいなかった。
風と光、空と海に無防備にさらされた。
見られるしかなかった。
誰と待ち合わせるために古本屋に行ったのか。
ひとから逃れるために行ったのか。
絵はがきが挟まったページは、
「坂と石段をのぼったところにある店で」
ということばで終わっている。
誰に見られているのか、
*
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