夜遅く帰ってきた
隣のことばが無言でものを食っている
箸を動かしたあとしつこいくらいに噛む
顎と舌を動かす唾液をまぜる
食うことを強制するようにむりやり
と描写することばと描写されることばのあいだ
木の椅子が木の床をこする歯ぎしりのような
足をくみなおす布のこすれるような
音を口蓋にとじこめなおも噛みつづけるが、
お茶をすすり終わると
歯も磨かずに奥の部屋へずって行き布団にもぐり寝る
だらしない乱れたゆくもりが交わることば
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