破棄されたの詩のための注釈(30) | 詩はどこにあるか

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破棄されたの詩のための注釈(30)

「反映」ということばがあった。ハナミズキの並木の坂道があり、そこで失われたものがある。けれど「視線」は残っていて、それがやわらかな花びらから「反射」してくる。その感じを「反映している」という動詞で言い換えたいと思った。その日のことばは。

「非在」とか「空虚」ということばをゆっくりと退けながら、坂がおわるところを見ていると「失われた」が「失われる」という現在形の動詞になって、坂をのぼっていく。こんな奇妙な「愛する」という方法(沈黙)を見つける必要があったとは……。
 
「空」という文字を傍線で消すと、青い空気が青いまま降ってきて、歩いていくひとの影になる午後。空を見上げれば飛行機雲の、まっすぐな道。そのさびしい色のハナミズキが揺れて、私のこころを「主張する」。


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