破棄された詩のための注釈(26) | 詩はどこにあるか

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破棄された詩のための注釈(26)

「灰色」。あの「灰色」はなくてもよかった。あの風景はなくてもよかった。斜張橋のいちばん高いところがかすかに見え、その向こうに広がる海か、空か判然としない「灰色」。その「色」がなければ、いっしょに見ることもなかった。また、その午後の光を背後に隠して、「感情のことを話そう」と言うこともなかった。

「わかりにくかった」。なぜ許そうとするか、わからなかった。その「わからなかった」を「わかりにくかった」と書き直したときに始まる詩を書きたいと思った。「わかりにくい」ときさえ、「わかりにくくさせている」ということがわかってしまう感情がある。

ほんとうは「感情」ということばの尻に*をつけて、詩の最後に小さな活字で「どんな断言も感情から発せられたのなら真実になる」という注釈をつけることを考えていた。


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