道の左側で | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

道の左側で

ゆるやかに下る道の右側で
三月の雨が、残った梅の花びらを散らすとき、
ゆるやかに下る道の左側で
三月の雨が、こぶしの花びらを押し広げる。

残酷とやさしいの定義はむずかしい。
もし散っていくことが残された美しさならば梅に降る雨はやさしく
淡い色のなかに隠しておきたいものがあるのなら、
握りしめた指をほどくように説得する雨はこぶしには残酷だ。

三叉路の角にはミモザが垂れ下がり、
三月の雨を、まだ眠ったままのアロファロメオのボディーのうえに
小さなメロディーのように流しているのは無頓着で

カーブミラーの汚れた曲面が
石垣の一個の石は必ず六個の石と接触しなければならないという法則を
映し出すのは傲慢だろうか。






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