顔のなかに、 | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

顔のなかに、

「顔のなかに」ということばが、開いた扉の隙間のように目を引きつけた。そのことばの奥には「別の顔の記憶が住み着いていた」ということばがあった。「電話がかかってきたとき、動いた」という短い情景の挿入の後、顔は「小さな部屋」という比喩になった。

「再びあの眼が」ということばが、そこには書かれていない「違う理由によって」おしのけられた。あるいは、「壁にかかった四角い鏡」のなかにしまい込まれた。それは鏡のなかに半分入り込んだ「ノートに書かれる」ことを欲したのかもしれないが、このとき「ノート」は比喩ではない。

「たいていのことは、そのように進んだ」
「たいていのことは、そのように済んだ」
並列して書かれたこのことばは、どちら側から見たのだろうか。



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