外と内と、 | 詩はどこにあるか

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詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

外と内と、

「朝の六時から雨が降りはじめていた」ということばは、「三時からだった」ということばによってさっとかき消された。
テーブルの上の黄色い白熱球。その光が硝子窓に映っている。
互いのことばを憎んでいる二つの影は、
「無言のまま、海が灰色に変わるのをみつめていた」。
ひとりの日記にそう書かれたあと、
「悲しみの断崖」ということばと同じように記憶になってしまった。

遠くで鴎の鳴く声、近くで青いガスの花の開く音。
「外からやってくるのか、私のなかから聞こえてくるのかわかならかった」ということばは、風のない日に聞こえるあの音、雨が海に触れるの音のよう。