新聞を読んだ後、
残った金で買うのにふさわしいのは
終わらない恋愛小説か
一人一人が別の方向へ散らばり消えていく推理小説か、
新聞を読んだ後、
プラスチックの椅子に座ってキオスクの遠い棚を見つめ、
あるいは立ち上がって壁の鏡をのぞく
ような詩がいいのか考える。
新聞はうまくたためない。
新聞を読んだ後、ふりかえると
女が電話をかけているヒースロー空港。
ハイヒールをぬいで足裏を左手でもみながら、
無言を受話器にあずけているが
新聞を読んだ後、
ふいに訪れる空白は砂糖入りのコーヒーを飲んだよう。
体の底からこみあげてくる退屈と
何も起きない小説はどちらが破壊的か。
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