夕暮れの灰色の空を | 詩はどこにあるか

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夕暮れの灰色の空を

夕暮れの灰色の空を固まっては崩れ、また固まって飛んでいる、
あの無数の鳥の群れは何という鳥なのか。

光をどこかに隠している灰色の空はどこまでも広く、
鳥の群れは無数に見えてもその広さを埋めつくすことができない。

黒い小さな影になって呼びあうこともない鳥の群れは
どこへ飛べばいいのかわからないまま、その形を崩しては建て直す。

はじき出され飛び散ってしまいそうになる一羽になることを恐れているのか、
一羽になってしまおうとする鳥がいることを他の無数が恐れているのか。

感情が割れてしまって別なものになるのを恐れるように
夕暮れの灰色の空を、固まっては崩れ、また固まって飛んでいる。


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