夜遅く帰ってきたあと | 詩はどこにあるか

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夜遅く帰ってきたあと

アパートに夜遅く帰ってきたあと
隣の女がものを食べている音がする。
箸をときどき動かしたあとしつこいくらいに噛んでいる。
もくもくと肉体が食べることを我慢して、食べている。
(こんな表現でいいのだろうか--とことばが考えていると、
足を組み換えたのか、いや体をお茶をとるために動かしたのだろう、
椅子が床をこする。座り直して、あるいは足をくみかえて、
お茶をすすりおわると歯も磨かずに
その奥の部屋に行って布団を敷いて寝る。
(つかいこんだ部屋の沈黙--という表現がことばの頭のなかに浮かぶ。





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