詩を書くために、
赤坂公園のまわりを新しい道から入ってきて
石垣の乱れを見ていると、どの石も六個の石と接していると気づく。
藪はサザンカを一本残して枯れている。
詩を詩らしくするためには
気づいたことは書かずに他人に語らせる
のがいいのだが、ことばの隣はぼんやりとつづく坂道の広さ。
右のマンションの窓はまだ明かりがついていない。
犬をつれた人が、ふたり
朝の私のように坂の上から坂の下へと歩いてくる。
夕刊のつづきを読むように新しい惣菜屋について話しながら。
まるで女のように。
詩を書くためには、
男のことばを捨てて女の呼吸を盗まなくてはならない、
と思ってみるが、これも男の考えに過ぎないか。
振り返ると犬が石垣の乱れに片足をあげている。
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