比喩(3) | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

比喩(3)

あしたは終わったという比喩よりも
きのうは終わってしまったという比喩の方が
悲しい。
つまり比喩のなかに入り込んでくる真実が

と書いてしまった今、
それが気に食わない。

月食がはじまった夜、
犬と散歩に出るのはよくない。
きっと塀の上にいる猫を見つけて犬が動かなくなる。
猫は白い顔に黒い模様、
犬は月食を見るように見つめつづけている、

と書いてしまうから。
真実は比喩の手前であしたへ引き返してしまい、
悲しい。












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