比喩は | 詩はどこにあるか

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比喩は

比喩は日付を消してしまった古い日記。
私なのかあなたなのか
喜びなのか哀しみなのか
わからないまま私は捨て去った日付を読む。
あるいは、時間を
いや、そのときそこにあって、
いまここにもある肉体の
捨てきれないもの。

「ブランコを揺らす。靴の先が石に触れる。
書いたのは私なのかあなたなのか。
書かれたのは日付なのか場所なのか。
ことばなのか。
比喩は
何も語らないのに、
繰り返すことはできる。
ブランコに座る。揺らす。足を伸ばすと
石がある。靴先が触れる。

比喩は、
意味を探さない。
あの日ではない。
この日でもない。
消えてしまった日付。


*



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