西脇順三郎の一行(101 ) | 詩はどこにあるか

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「ヒルガオ」

この燃えているおつさんの                    (111 ページ)

 太陽を「燃えているおつさん」と呼んでいるのだが、「おつさん」という音がおもしろい。どこか「もったり」として響きがある。不透明な感じがする。それは激烈な太陽の比喩には、私の感覚では、そぐわない。
 しかし、こういう「変だなあ、自分ではそういう比喩は思いつかないなあ」ということばがあると、その詩に手触り(手応え)のようなものが生まれてくる。
 「おつさん」という田舎臭いイメージよりも、田舎臭い「音」が、私の何かをつかまえて離さない。その何かが何か--私にはわからないが、こういう変な音が私は好きである。