「えてるにたす Ⅰ」
町で聞く人間の会話 (74ページ)
「意味」について書きたくないなあ、と思っているのだが、きょうはとても疲れているのか、頭が「意味」に頼ってしまう。
この一行は、「淋しさ」をあらわしている。西脇の「淋しさ」の定義に合致するのが「町で聞く人間の会話」である。その会話というのは「あいさつ」である。何も意味しない。ただ人間が存在することを互いに認めるときのことば。それを西脇は「淋しい」と呼んでいる。
他の「淋しい」がたくさん書かれているが、どれも、存在する「もの」である。ただ存在するだけの「もの」、「意味」をもたない「もの」。「意味」をもたないけれど、存在すると認めることができる「もの」。