西脇順三郎の一行(51) | 詩はどこにあるか

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西脇順三郎の一行(51)

「あざみの衣」

昔の夏にジュースを飲んだ空きびん

 ここからは『豊饒の女神』。
 「昔の夏に」の「に」が不思議。私は、こういうときに「に」をつかわない。「昔の夏、」と読点「、」でごまかしてしまう。「に」によって、ことばの「接続感」がつよくなる。ことばが直線から曲線にかわるような感じがする。その曲線は、ねばっこく、けっして折れない感じの曲線である。
 その不思議なまがり方に、「ジュース」「空きびん」といった硬い音がぶつかる。硬いといっても音引きと「空きびん」の「あき」という音がごつごつ感をやわらげる。