「失われた時 Ⅳ」
沖の石のさざれ石の涙のさざえの (62ページ)
「の」の連続によることばの連結がはてしなくつづく部分の1行。いろいろおもしろい行があって、いま引用しながら、ふと目に飛び込んできた別の行にすればよかったかも……と思ってしまうのだが。
最初の印象で書くしかない。
「さざれ」と「さざえ」の似通った音がおもしろい。濁音があるところが、私は好きである。私には「さ行」というのは清音の印象があり、弱い感じがしてしまうが、濁音によって音が豊かになる。なみ「だ」の「だ」の濁音ともひびきあう。
「失われた時 Ⅳ」
沖の石のさざれ石の涙のさざえの (62ページ)