西脇順三郎の一行(31) | 詩はどこにあるか

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西脇順三郎の一行(31)

 「道路」

このため息のうるしの木

 何のことかわからない。ただ「ため息」と「うるしの木」が結びついていることに不思議な気がする。うるしの木がそこにあるのだ、ということだけがわかる。西脇がうるしの木を見ているということだけがわかる。
 そして、そのうるしの木は、西脇にとってはとても重要なものである。「この」が、うるしの木を、ほかの木々から選別している。そこには何らかの思い入れ(?)がある。だから「ため息」も出るのだろう。
 「意味」(強調)があるとすれば、うるしの木でもなく、ため息でもなく、その直前の「この」ということばそのものかもしれない。
 だから(?)、その「この」の「の」と音をあわせて、ため息「の」、うるし「の」と「の」が重なるようにしてつづくのだ。