テーブルの上に--飯島耕一氏死去を新聞で読んだ日にテーブルの上に--飯島耕一氏死去を新聞で読んだ日にテーブルの上にコーヒーカップが二つ。ショパンのピアノ曲が終わったとき、一つには黒い水たまりが残っていてカップの縁を映している、三日月の形に白が揺れる。一つは干上がった底に薄焦げ茶の輪郭がはりついている。二人だけの暮らしにもこんな違いがあるのだと知る秋--ということばを定型詩にするにはどうすればいいだろう。窓を開けると雨が止んだあとの空気が入ってきて(空気を修飾することばは見つからなくてからだのどこかが冷えていく気がした。