秋の夜は、 | 詩はどこにあるか

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秋の夜は、

秋の夜はデザートにブドウが出てくる。
白い皿に載って。

ことばで大粒のブドウの色、
灰色のきめこまかい粉をまとった紫を説明するときは、
ブドウをつまんだときにできる指の跡を
書いてみると楽しいかもしれない。
紫というより藍色に近いが、
細かく区別すると詩は消えていく。
水に濡れて深くなる感じと書き直すべきか。

もし水彩画に描くなら。
白い皿に映る影のなかにブドウの色をまぜる。
水彩画は現実よりも明るく描くこと。
明るく描きながらわざと明暗をつけるとリズムが出る。
だから丸い影を重なり合わせ、
そこに乱調が響く具合にする。