トム・クルーズがドバイの超高層ビル、ブルジュ・ハリファをよじ登るシーンが映画公開前から評判になった。スタントマンでなく、トム・クルーズ自身が肉体をつかって演技している。
で、この役者が自分の肉体で勝負している、というのがこの映画の一番の特徴。CGをはじめとする映像と違って、肉体そのものが動くので、動きのスピードに限界がある。簡単にいうと、遅い。CGを見慣れたひとには、動きのもったり感が「へたくそ」に見えるかもしれないなあ。刺激が甘い。(だから、この映画はきっとヒットしない。)砂嵐のシーンで、ゴーグルを取り出して目を守るなんて、あまりにも人間的(?)で笑ってしまうし、まあ、砂嵐にそなえて誰もがゴーグルをもっていても怪しまれないなんていう伏線(?)もスムーズなんだけれど。
しかし、その「もったり」が私にはおもしろかった。やっぱり映画は役者の特権的肉体を見てこそ感情移入できるからね。だから、ほら、あの「マトリックス」でも、基本的に「特撮」なのだけれど、キアヌ・リーブスがイアンバウアーみたいに体をそらして弾丸をよけるシーン、スローだからおもしろい。自分にもできそう、と思えるからね。(この、自分にもできそう、が感情移入、ということ。)映画を見終わったあと、真似したでしょ?
それで。
その、肉体的特権。トム・クルーズが鍛え上げた肉体になっているのはいいのだけれど、まわりがみんなトム・クルーズサイズ――というのが、とてもおかしい。ジェレミー・レナーも、ほとんど同じ体形。長身だとつりあわないからね。顔も、長い顔(長方形)ではなく、丸顔っぽく、かつ童顔。観客の目が、チームの他のメンバーに「浮気」しないように工夫している。
最後の車工場(?)のアクションも巧妙だ。相手は確か長身では? 目立たないように立っている時は位置が上下に離れている。比較しにくい。近くの時は倒れている。比較しにくい。いやあ、うまいもんですねえ。
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