オードリー・ヘップバーンのおもしろさは現実感のなさである。この映画でも、その魅力が発揮されている。どれだけ食べても太らない――という非現実的な人物造形からそうだけれど、それより。
「ケーリー・グラントってハンサム、結婚したいわ」
と、どんな状況の時でも思ってしまう軽薄(?)な感じが、とてもいい。どうせ映画なんだもの。
情況というか、ストリートは無関係に、ケーリー・グラントの顎えくぼを指でさわって「ここも髭そるの?」なんて、好きだなあ。そうか、顎えくぼはセクシーの象徴か。マイケル・ジャクソンは成形して、わざわざつくっていたなあ。(私はつくらなくても、あります――と、突然宣伝。)
リンゴリレーもいいけれど、ジェームズ・コバーンが、マッチに火をつけてオードリー・ヘップバーンをいじめる(?)ところも好きだなあ。子供っぽいというか、逆に大人っぽいというべきか。ばかばかしいから、うれしくなる。こういう困った時の顔が不思議と色っぽい。
ウォルター・マッソーと話していて、たばこを吸う。そのときフィルターを嫌って必ずたばこを半分に折るのも、なかなかおもしろい。ヘップバーン以外の女優がやったら「意味」になってしまう。「肉体」が出てきてしまう。
ヘップバーンに「肉体」が欠如(欠落?)しているためだろうか、私はときどき、ヘップバーンの「動き」を真似してみたくなる。このたばこのシーンが、この映画では、その代表例かな。あ、私は医者に禁じられているので、たばこは一度も吸ったことがないのだけれど。
ヘップバーンの動き(肉体)を真似してみたいと思うのは、まあ、私だけではないかもしれない。映画のなかでは、オチのようにして、ケーリー・グラントがヘップバーンの目を顔の真ん中にあつめて口を開く表情をコピーしているね。
ケーリー・グラントといえば。あのシャワーのシーンがおかまっぽくておかしい。そのあとバスロブで、しっかり体を隠してでてくるところなんかも傑作だなあ。
映画はストーリーではありません――の代表作だね。
ヒチコックが撮ると、もっと「肉体」が濃厚に出てきて、その「肉体」にひきつけれれるんだろうけれど、その場合、ヘップバーンじゃ無理な感じがする。
まあ、ヘップバーンあっての映画だね。
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