カン・テギュ監督「ハーモニー 心をつなぐ歌」(★★) | 詩はどこにあるか

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監督カン・テギュ出演キム・ユンジン、ナ・ムニ、カン・イェウォン

ただただ泣かせることを狙った映画。で、製作者側の狙ったとおり、涙涙涙の
大洪水。終わった後のロビーで「隣の人の涙がすごかった」「あれで泣きゃ泣き
ゃ人間じゃないよ」というような会話が交わされていた。
見どころは、キム・ユンジンが別れた息子と再会するシーンなのだが、その直
前のトイレでの指輪紛失(盗難)騒ぎの処理が非常に乱暴。韓国の実情を知らな
いし、日本で同じことが起きたときどんな対応になるかしらないが、あまりにも
乱暴な人権侵害。こういうことが起きた後で、人は歌えるものなのか。疑問が残
る。主人公たちの心理描写がずさんすぎると思う。
もうひとりの主人公(?)、コーラスを指導する元大学教授と死刑復活のエピ
ソードも、結び付け方が唐突。死刑を囚人たちがどう受け止めているのか、ここ
ろの動きの追い方がずさん。
歌うことによって彼女たちがどう変わったのか――誤って人を殺してしまったこ
とについて、どう考えがかわったのかわからないのが何とも理不尽。彼女たちは
全員、最初から善良すぎ、最後まで善良のまま、というのは変じゃない? どう
しようもない人が音楽にふれることでかわっていく、というエピソードがひとつ
でもあればなあ、と思う。



今月のおすすめの3本。
熊切和嘉監督「海炭市叙景」
ロドリゴ・ガルシア監督「愛する人」
デヴィッド・フィンチャー監督「ソーシャル・ネットワーク」


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