ウォルター・ラング監督「ショウほど素敵な商売はない」(★★★★) | 詩はどこにあるか

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監督 ウォルター・ラング 出演 エセル・マーマン、ドナルド・オコナー、マリリン・モンロー
 
 芸人一家と、芸人をめざすマリリン・モンローのかけあい。芸人一家の方に力点があり、歌も踊りも芸人一家の方がすばらしく、マリリン・モンローがかわいそうと書くとミュージカルファンには叱られるだろうか。
 楽しいのは、末っ子の男がマリリン・モンローに夢中になり、デートして、家まで追いかけて行ったあと。マリリンを思いながら庭で歌い踊る。庭の彫刻や噴水までも彼の歌にあわせて踊りだす。ミュージカル以外ではありえないシーンだね。
 マリリンがカウチであれこれ思い、そのまわりで末っ子と姉が歌い踊るシーンも楽しい。マリリンのスローテンポな動きと二人の鍛え上げられたスピーディーな動き。その対比がおもしろい。
 ラスト近く。家出した末っ子がやっと帰ってくる。舞台で歌い踊っていた母が、袖で見つめている末っ子を見つけ、はっ、と驚く。けれどそれは一瞬で、歌をやめない。音も狂わない。ダンスも踊りとおす。芸人の生き方を貫く。その「厳しさ」みたいなものをさらりと描いている。
 そして、あ、この一家はほんとうにショーが大好きなのだ。ショーを見て、喜んでくれるひとがいる限り、ショーをつづけるんだということが、まっすぐに伝わってくる。
 ミュージカルの原点だねえ。
                        (「午前十時の映画祭」32本目)


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