監督 ミゲル・サポチニク 出演 ジュード・ロウ、フォレスト・ウィテカー、リーヴ・シュレイバー
未来の話である。人工臓器を患者に高金利ローンで販売し、ローンの返済ができなくなると人工臓器を回収する。まあ、高金利金融の一種、サラ金の取り立ての新手。その取り立て屋、人工心臓を移植し、そのローンがはらえなくなり……。
まあ、どんな話でもいいんだけれど。映画だから。
気になるのは「レポゼッション・メン」という日本語のタイトル。「メン」とわざわざ複数形にしている。「取り立て屋たち」。おもしろくないねえ。こういうとき、日本語は単数。「必殺仕置人」とかさ。ひとりでやらなくても単数。仕事だから、複数形にはしない。
なんで、こんなくだらないことを言うかというと。
「レポゼッション・マン」と単数だと「ひとり」のことかな? ジュード・ロウの苦悩を描きながら、人間の本質、いのちの本質に迫っていくのかな、という、まあ、幻想だけど、期待をもって映画を見ることができる。主人公は「ひとり」かな、と勘違いしながら見ていくことができる。
ところがねえ。
この映画、ひとり取り立て屋の苦悩と闘いを描いているわけではない。複数の取り立て屋の苦悩を描いている。ジュード・ロウとフォレスト・ウィテカーのふたりの苦悩。そして、ストーリーには、実はフォレスト・ウィテカーの苦悩がとても重要な影を落としている。いや、ほとんど、フォレスト・ウィテカーがこのストーリーのカギをにぎっているという具合なのだ。
それもまあ、許せるとしても、タイトルでそんな「謎解き」をしてしまっては、ねえ。
映画がとてもひどいできなので、タイトルに謎を残してみました。謎解き、できましたか? とでもいうような具合である。観客を馬鹿にしていない?
見るべき映像はなにひとつありません。
強いてあげれば、ジュード・ロウ。(彼が主演じゃなかったら、見に行く客自体がいないと思う。)彼の頭の左側。あの10円玉禿はほんもの? それとも役柄上、つくったもの? それを見きわめたいひとは、映画をみてもいいかなあ。最初から最後まで、私は、それだけが気になって仕方なかった。
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