監督 キム・テギュン 出演 チャ・インピョ、シン・ミョンチョル、チョン・インギ
この映画の感想はむずかしいなあ。
映画なのだけれど、映画ではなく、「現実」として見てしまう。北朝鮮の現実、脱北者の現実……。映画にはもちろん現実をつたえるという仕事もあるのだろうけれど。
どこに視点を定めていいのかわからないけれど、子供に焦点をあてると、子供の不思議さが、まあ、きちんと描かれていると思う。
どんな状況でも、子供は大人(親)のいうことを絶対的に信じる。親の言うとおりにしようとする。親に気に入られようとする。親を批判しない。
それがいちばんよくでているのが会話。
韓国語(北朝鮮語?)がわからないので何とも言えないが、子供がいつも親に「敬語」をつかっているのが、美しくて、かわいそう。
北朝鮮の国民全員が、「将軍様」の「子供」というのが、北朝鮮の現実--というふうに、見つめなおせば、うーん、この映画は少しは違ったものが見えてくるかなあ。
なんだか、何もない家(ちゃぶ台と食器しかない家)、草を取って惣菜にしようとする貧しさ、路上にあふれる子供たち、闇市、横暴な憲兵(?)というものを次々に見せられても、こころが暗くなるばかり。
さらに。
子供は死んでいくとき、楽しかったことを胸に抱いている。雨のなかで、小石をボールにして父親とサッカーをしたこと--それがいちばん美しい思い出なんて。
それが子供の「本質」なら、よけい、つらくなる。