監督 ウィリアム・ワイラー 出演 チャールトン・ヘストン、ジャック・ホーキンス、スティーブン・ボイド
「午前十時の映画祭」13本目。
この映画の一番面白いのは「序曲」。スクリーンには何も映っていない(あ、「序曲」という文字、「あと○分で上映」が出る)。これを観客が一緒に見つめながら、待っている。このときの「待っている」感じがいいなあ。
客が少ないと、げんなりするけれど、満員だったらぜったいわくわくする。(5月1日の「オーケストラ!」の感想を読んでみてください。満員効果について、書きました。)5月3日の天神東宝、午前10時からの回を見たけれど、微妙な客席の埋まりよう。興奮をもたらす人数には遠い。で、「あ、そうだった、序曲があったんだ」と昔を思い出し、まるでオペラだななんて、余分(?)なことを考えてしまったけれど、余分なことを考えながらも、これから始まるんだという気持ちをだんだん高めていくのはなかなか楽しい。
映画は、うーん、昔はCGがなくて人海戦術だったから大変だな、ということを思うくらいかなあ。
戦車(競馬?)のシーンが意外に短いのと、そのクライマックスのあとが長いのにびっくりした。頭のなかでは、戦車シーンでおわっていたなあ、この映画。はるか昔、チャールトン・ヘストンの戦車が倒れた戦車の上に乗り上げ、ヘストンが落ちそうになる。それを持ちこたえて、乗りなおすシーンで拍手が起きた。よかったなあ、あの興奮というか、観客の一体感。いまは、これくらいのシーンはありきたりで、拍手はもちろん、感嘆の声も起きない。
時代はかわったね。
むかしのまま、中断(間奏曲3分)つきで上映されたのだけれど、あ、これが失敗だねえ。いまは一気に見せないと、興奮が起きない。「序曲」で感じたわくわくは、休憩中断で消えてしまっていた。観客全体が、だらけた感じになっていた。
むずかしいね。
戦車のシーンは、あ、こんな映像よく撮ったなあと感心する。むかしのスタントマンは大変だ、と思うけれど。
なんといえばいいんだろう、あのころの演技は今見ると退屈。ストーリーを語ることに一生懸命で、おもしろくない。チャールトン・ヘストンが若くて、あ、意外とかわいいじゃないか、なんて変な感想だけ思いつく。ようするに、のめりこめない。
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