イチローが大リーグで9年連続200安打を達成した。その後のインタビューがasahi.comに載っていた。面白い部分があった。
――記録を狙う上で大事なことは。
大事だと思って、それを大切にしているわけではないが、結果的に野球が大好きだ、ということがそれに当てはまると思う。僕には相反する考え方が共存している。打撃に関して、これという最後の形はない。これでよしという形は絶対にない。でも今の自分の形が最高だ、という形を常につくっている。この矛盾した考え方が共存していることが、僕の大きな助けになっていると感じている。
「矛盾した考え方が共存していること」。これは、すべての分野の、すぐれた部分に共通することだと思う。矛盾を意識できるというのが、存在を活性化する。存在を進化させる。矛盾のないところに思想はない。
イチローはバッターだが、ことばの達人でもある。考えをきちんとことばにできる。そのことばに、哲学がある。