「ダイエット」が詩になるまで | 詩はどこにあるか

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詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

 読売新聞に「子供」向けページがある。三木卓が週に一回、詩を紹介している。11日は吉野弘の「紹介」。

一歳です
おいた、します
おなか、空きます
おっぱい、たっぷり飲みます
お通じ、あります
よく眠ります
夜泣き、しません
寝起き、ご機嫌です
固太(かたぶと)りです
ダイエット、まだです
女性です
柔肌です
おしめ、まだ取れません

 「ダイエット」からの行が傑作だ。「ダイエット」「女性」「柔肌」と若い女性を連想させておいて「おしめ」へ引き返す。すけべ心を「へへへ」と笑い飛ばしている。その笑いが健康である。お茶目である。
 こういう詩を読むと、詩が楽しくなる。

 「ダイエット」というような、「古典」にないことばを文学に持ち込むには時間がかかる。なかなか詩にならない。こうしたことばを詩にしてしまうところに吉野の詩人としての魅力がある。

 こうした作品を読むと、詩の中に「ダイエット」を取り込んで書きたい気持ちに誘われる。しかし、難しい。