中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(17) | 詩はどこにあるか

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 中井久夫の訳語の魅力を、私は口語に感じている。貨幣かメダルかわからないが、何かのデザインについて書かれた「愛希家」も口語が生き生きしているが、この詩のなかに、突然「愛希家」という、聞いただけではわからないことばが出てくる。文字を読んではじめて理解できることばである。

「愛希家」と上品な字体で加えてくれ。

 「あいきか」と読む。ギリシャを愛したひと。ギリシャを、希臘と書いてあるのを見たことがあるが、いま、これを漢字で書けるひとはいないだろう。そういうことばが突然出てきて、世界を凝縮させる。「秘密」が隠される。
 「上品」という注文が、その秘密の匂いを強くする。多くのひとにわからなくて結構、「上品なひと」、つまりギリシャの「上品」を愛するひとにさえわかってもらえればいい、そういう「意図」が隠されている。逆に言えば、ローマの手先の「権力者」にわからなくてもいい、と言っているのである。
 ギリシャの「文化」を理解するひとこそギリシャ人なのだ、という矜持である。

 

 

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