平田俊子の視点 | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

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平田俊子の視点(読売新聞、2023年04月23日)

 2023年04月23日の読売新聞。「こどもの詩」というコーナーに、古井いつきの「私のおなか」という作品。

おなかには三つお部屋がある
一つ目はおくすりのへや
二つ目はおやつのへや
三つ目はごはんのへや
もぐらさんのおうちみたいに

 さて、この詩に、いったいどんなことが言えるか。平田俊子は、こう書いている。

 大人になるとお酒の部屋もできたりします。

 この感想は、とてもいい。子どもを特別扱いしていない。子どもはおとながお酒を飲むことを知っている。子どもは飲んではいけない、ということも知っている。だから、ね、大人になるといいでしょ? なりたいでしょ、とそっと言っている。
 このちょっとふざけた励ましは、「一つ目はおくすりのへや」の奥にあることばをくみとっているのだろう。
 この子どもは、薬を毎日飲まないといけない。何らかの病気なのだろう。そして、子どもは薬を飲むことを、部屋が三つあるという言い方で納得している。だれもが三つの部屋をもっているわけではない。このけなげな努力を、ゆっくりとゆさぶり、ときほぐしている。
 平田の詩には、何かしら「配慮」の匂いがして、私はその「配慮」が嫌いというか、どうしても肉体がむずむずしてしまうのだが。
 でも、この子どもに対する「気配り」はいいなあ、と思った。子どもは「気配り」されたことに気がつかない。「対等」を、まあ、対等(平等)ということばではつかみ取らないと思うが、その「対等/平等」を感じ、目を丸くするだろう。
 その驚き、喜んでいる子どもの顔が見てみたいし、あとで舌を出している平田の顔も見てみたい。
 
 詩は、書かれただけでは、完結しない。

 

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