ティム・ヒル監督「グランパ・ウォーズ」(★★)(2021年05月02日、キノシネマ天神、スクリーン1)
監督 ティム・ヒル 出演 ロバート・デ・ニーロ、オークス・フェグリー、ユマ・サーマン
長い間映画を見ていなかったので、映画をどうやって見ていいのかわからない感じがした。それで、気楽に笑える映画をと思い、見に行ったが……。
大人向けというよりも、家族向け、子ども向けコメディーだから、セリフがやたらとはっきりしている。ニュアンスではなく、はっきりと、わかりやすく。これは演技にもあらわれている。アクションがオーバー。内に抱え込んでいるものがない。すべてを出してしまうを通り越して、すべてを型の枠に入れてしまう。
こういうとき、役者は何を感じるのかなあ。
まあ、デ・ニーロは「童心」に帰って楽しんでいるなあ。ドッジボールのシーンははしゃいでいる。クライマックス(?)の孫との一対一の対決、ジャンプしてボールを投げるときの姿勢など、どうやってとったのかわからないが、さまになっている。「やれたぞ」と喜んでいる感じがいいなあ。
それにしてもね。
「タクシー・ドライバー」の、痩せて、ぎらぎらした感じの青年が、こんなに腹が出た老人になるのかと思うと、人間の体は不思議だ。「レイジング・ブル」のときは落ちぶれていくボクサーを演じるために何キロも太ったようだが、そのときの「酷使」が影響しているのかも。よくわからないが、太って「愛嬌」が出てきたので、こういう老人役には向いている。クリストファー・ウォーケンが、痩せたまま(それでも、「ディア・ハンター」と比べると太ったか)と比べると、その違いがわかる。
ユマ・サーマンは、かつてはデ・ニーロのような「体の線」があったが、今回は、それがない。まあ、コメディーだから、か。
私が唯一笑ったのは、予告編でもあったが、デ・ニーロのベッドにヘビがあらわれるシーン。これって、「ゴッド・ファーザー」の「馬の首」だね。でも、あの映画、デ・ニーロは出ていないんだよなあ。デ・ニーロが出たのは「パートⅡ」。でも、おかしい。何か、記憶をくすぐられる。
で、ね。
ここまで書いてきてわかることは、これはやっぱり「記憶をくすぐる」映画なのだ。デ・ニーロの友人がクリストファー・ウォーケンである理由も、さらには「戦争」が何やら「ゲリラ戦」(ベトナム戦争のとき、はやったことば)を思い出させるのも。そのときはなかったドローンも出てくるけれど、これだって、それを駆使するのはアメリカ(デ・ニーロ)だからね。ユマ・サーマンも、かつては「戦う女」だったから起用されたのかも。とくに戦うシーンはないが、ふたりの「戦争」を、うすうす感じるのも「戦士」だったからこそ。
たぶん、そういう「見方」も求められているんだろうなあというか、そういう「見方」も期待して映画はつくられているんだろうなあ。でも、私は、こんな「うがった」見方が嫌い。映画は、過去にどんな映画を見たかを思い出すためのものじゃない。過去を思い出すためのものではない。
次はもっと違う映画を見たいなあ。
コロナが拡大する中、映画館も「時短」営業になるようだが。
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