嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(113) | 詩はどこにあるか

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*(小さな港まで)


あの突堤のところまで走つて行つておいで
そこに咲きつらなる希望の花がしほれる前に

 「咲きつらなる」の「つらなる」がおもしろい。孤立して咲いているのでもない。群れて咲いているのでもない。つらなっている。
 この詩の最終行は「わが子よ」。
 「つらなる」には、嵯峨から子への「つらなり」が託されている。
 「花がしほれる前に」は、子から、さらに先の子への願いがこめられている。港の突堤のように、長くのびるもの。その長さが抱え込む美しさ。そういうことも想像させる。

 

 

 

 

 

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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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