破棄された詩のための注釈26破棄された詩のための注釈26 谷内修三2020年10月23日 風が河口の上を渡り、水のにおいを呼び覚ます。「掠め」か「掃き」か。「顔に吹きつける」か「ぶつける」。 考えている内に、その間に、水の色は変わってしまう。 欄干にもたれている脇を犬が通っていく。何を見ない。しかし、犬のあとをついていく男は私を見る。 「無礼に」「さげすむように」「何かを求めるように」。 いったい、私は何を探しているのか。 風が水の上を掃き、水のにおいを吹きつける。