破棄された詩のための注釈25 | 詩はどこにあるか

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破棄された詩のための注釈25
                        2020年10月23日

 花瓶の花を捨てるとき、まだ枯れていない一輪の薔薇を選び、コップに活けた。水の高さを気にして、何度も捨てたり注ぎ直したりした。窓から入ってくる光がつくるテーブルの上の水の影と水の光。そして薔薇の色。
 描きかけの手をとめ、席を立った。捨てた花の中から朽ちた葉っぱだけの一本を追加した。それは「ニュアンス」を定義するためだった。あらゆる存在には共通するものと異質なものがある。その差異を語り直すことが「ニュアンス」を定義することである、という注釈をつけるためである。
 たしかに花びらが生きているように色を変えた。しかし、それは花自身の変化なのか、時間が動いたせいなのか、あるいは意識の錯誤なのか。