2020年10月21日(水曜日)
魯迅を読む。読み返す。
魯迅は、私に「正直」を教えてくれた人である。その「正直」は、何とも言えず悲しい。
「故郷」には、こんな文章がある。
私は横になって、船底にさらさらという水音をききながら、いま私は私の道を歩いていることをさとった。
この「道」ということばに、私は、どうしようもなく胸を打たれる。
この「道」の対極に、「故郷」の場合、彼の幼友達の「閏土」がいると考えるのは簡単である。しかし、それでは閏土に「道」はないのか。いや、あるのだ。「阿Q」に「道」があるのとおなじだ。
魯迅は「道はある」とは言わずに「道になる」と書く。
それは希望でも、絶望でもない。「道」は現実であり、「道」は歩くしかないのである。