「夜想曲」魔天道ソナタ・裏本をついに読む。 | ひさもとみきしょうじ

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連続ブログ小説「ケータイサラリーマン橋ユキヨ」[あらすじ]東京にある架空の商社「ひさもとみきしょうじ」で新規事業の"ケータイコミック"サイトのコンテンツ営業をする橋ユキヨの明日なき戦いを描く物語?!

この写メ、小百合さん的にはお気に召さないそうで…余白が多すぎると
「魔天道ソナタ」の作者・天城小百合先生がその連載終了後に自身の手で描き下ろした同人誌「夜想曲」

位置付けとしては連載終了後に書かれた番外編「純白のオブジェ』の後日談、その続きから始まる物語

因みに純白のオブジェは魔天道ソナタの最終巻、単行本第20巻・文庫第10巻に収録されていますが残念ながらどちらも絶版になっておりますので、電子コミックで購入いたたくのが一番容易いのでは。文庫が親本ですのでやはり最終巻に収録されています

電子コミックならば天城先生にもロイヤリティが入りますので是非<(_ _)>とそれはそうと

番外編が独立した物語であると同時に後に本編に大きく関わってくる、事があるのが天城先生の番外編の特徴だったりすると思うのですが、この同人誌・夜想曲も例外では無く

こ存じの皆さんも多いと思うのですが、この夜想曲が世に放たれた時、皆さんの間で物議を醸し出した、賛否両論になったと聞いております

フィラとミカエルの絡み、いわゆるベッドシーン

私もこの事実を知った時、反対の立場というか、現世で遂に結ばれる事が無かった二人が次の世界、二人きりの世界でようやく未来永劫一緒に…そのラストがあまりに素敵だったのでこれ以上の補完はいらないと思ったのと、結ばれないから美しい…現世でのじれったくもある切ない距離感の二人と、精神世界に昇華されて二度と分かつ事の無い存在となった二人、そのどちらにも生々しい、物理的な結びつきはそぐわないし無用…やや潔癖なそれこそ甘菓子な意見に過ぎるかもしれませんが(苦笑)、もはや魔天道ソナタは作者だけのものでは無い!天城先生だからってやって良い事と悪い事があるだろ!!

と読む前から、読んでもいないのに憤っていたわけですが(苦笑)

…畏れ入った。天城小百合の作家力、というか他の番外編と同じくこの夜想曲も間違いなく魔天道ソナタの一編、しかも重要な一編だった

愛されている事が信じられずフィラの愛を試し続けるミカエル、その際限無く続く試練に黙って、いや笑顔で応え続けるフィラ、しかしフィラが笑顔で受け止めて寄り添ってくればくれる程に苦しくなるミカエル、そしてついにフィラはその愛に殉じてしまう…しかしミカエルがフィラに渇望していた愛は

二人が二度と分かつ事の無い存在になってしまった事で、実はこのミカエルの複雑な、ある意味我が儘な苦しみはフィラに理解される事無く、救済されないまま物語は終わってしまっていたわけで

それをこの夜想曲が補完…それがフィラとミカエルのベッドシーン、それをやや執拗に描いている、それはそれがフィラのミカエルの苦しみへの救済だから…つまり必然があるわけで

なおかつあの本編の素晴らしいエンディングに新たなエンディングが追加される形では決して無く、この夜想曲もまた本編最終話に繋がっていく

読まれていない皆さんには是非お薦めしたいのですが、この同人誌は第3刷まで増刷していて、天城先生の手元にも初版·第2刷·第3刷がそれぞれ一冊ほどしか残っていないので、電子コミック化するにも底本が無い、またベッドシーンのアダルト表現について白ヌキなどの修正をしないと恐らく配信出来ない、それは天城先生も許さないのでは

だとしたら更なる増刷…第4刷か、皆さん読んでみたいですか?

実はあともう二冊、天城先生がその総てを注ぎ込み、その総てを無くした、今の境遇のある意味きっかけとなったあの禁断の同人誌

ついにそれも実は読みましたので、また次回記事にしたいと思います。

宜しくお願い申し上げます。





※位置付けとしては~以降は5月2日(日)に追記、完成。